編集長のひとりごと「S字になって訴えてくる」
10cmたらずの仔猫『まも』は、もう20cmを超えた。
日々の暮らしを楽しんでいる様に思える。私の出社に付合い事務所で一日遊んでいる。
親兄弟を知らぬまま育ったので、どこか臆病で、どこか激しい。優しく接するとナメテかかってくる。しつけを教えながら、友達付合いも永く動物達と付合えば相手によって対応出来るものである。
私が飲みに行く時に何回かウエストバックに入れて、周りに見せたら皆んな驚き、オドオドした『まも』を抱き上げて喜んでいた…。そんな時は周りに上手に合わせる『まも』なのだ!少しづつ留守番にも慣らしていった。
朝の出社の時は、心配顔でお見送りをしてくれるのだが、早く帰っても、遅く帰っても軽く「お帰り!!」と、あまり「待ってたよ~」的な迎えは無いのである。寂しくない様に遊び道具を与えておくと、本人自身の電池が切れるまで遊び、即寝て、起きて即食べて、即トイレ。の繰り返しなのである。
私の帰りが、どの順番の時に当たるかによって、声は聞こえるものの顔も見せない。こちらが「まも~!どこ~?」と声を掛けても生返事で遊びに夢中という…。そんな態度をされる私の方が少々寂しかったりする。
猫生活も幼年期が過ぎようとしている時期の体長が30cmを超える頃には、一人(匹)留守番が寂しいという態度を見せる様になった。少し大人の心を持つ様になってきた証拠だとも思う。
私が玄関で靴を履いていると下駄箱の上に乗って「もー行くと~?」「帰り遅いと~?」と、まるで新妻の様に甘えてくる。その訴えが日々強くなるのは大人の心を持ってしまったのであろう…。玄関でS字になって訴えてくる。車庫側の窓のカーテンの隙間から細くした目で私を見送る。後ろ髪を引かれる思いが続くのである。
やっぱり一人より二人が寂しくないよネ!
ある日、ポチタマクラブと言うボランティア団体に、その旨を説明し『まも』に合う仔を探してもらう事となった。初めからオスが良いと考えた。『まも』がオスなので。去勢は済んでいるのだが、やっぱりメスに対して興味津々となる事も多いだろうとオスに決めたのだ。
その日は暑い夏日、私の都合で北九州小倉駅での『お見合い』となった。候補は3匹いた。『まも』の性格とサイズを考え合わせるとある仔が良かったのだが、目が合った瞬間に感ずるものがあるキジ猫の仔に決めた。運命とでも言うのか?数百年数千年の流れを感ずるものが、この世では行き来するものだ。「この仔であれば絶対に上手く行く」と、その日も感じたのである。
ポチタマさんよりBOXまでも頂き、新幹線に一人と一匹で乗った。BOXの窓から顔を覗き見ると、ニマ~ッと笑顔で私を見て愛想が良く、次に「ニャ~」と声に出さずジェスチャーをするのである。小さい時から(今も小さいが)周りに気遣い、生きる術を心得ている。この仔も苦労して来たのだと不覚にも目頭が熱くなってしまった…。
私の目の奥底を何度となく確かめ、電車の揺れに誘われたのか寝てしまった。BOXを持ち上げ降りる用意をしながら覗き込むと、今度は目の奥底を見ずに笑目になっているので少々ホッとした。
博多に着いて駐車していた暑い車内に入れると、またジェスチャーで「何処行くの?」と聞いてきた。私の予定を説明し、今度はビル内の駐車場に車を停めて暑くない様に計らった。打合せを早々に切り上げて、車に近づくと今度はハッキリと「ニャ~」と、大きな声で私に「遅い!!」と言いやがった(笑)
さてさて、今日の最大なる難題…『まも』との初対面である。
車中のエアコンが効き始める前には自宅に着いた。車庫に車を入れながら窓を覗くと、やっぱり『まも』が細い目で笑っているのか、怒っているのか、カーテンの隙間から見ている…。ゆっくりと車からBOXを降ろし、庭を廻って行くと次の窓、次の窓と『まも』が付いて来る。彼はもうその事自体を知っているのか…?
玄関をゆっくりと開け、BOXを『まも』の前に置き、ゆっくりとBOXの扉を開けた。『まも』は少し身を低くし、目だけは普段の倍ほども拡げ、ゆっくりと右回りを始めた。
新参猫も注意を払いながらゆっくりとBOXを出て右回りを始めたのであった…。続く
編集長 上上 上